サトイモの後作におすすめの野菜5選|土を再生しながら次の収穫を楽しもう
ねっとりとした食感と優しい甘みで人気のサトイモ(里芋)は、日本の秋を代表する根菜のひとつです。家庭菜園でも比較的育てやすい作物ですが、収穫が終わった後の畑をどう活用するかで、その後の栽培計画や収穫量が大きく変わります。
サトイモはサトイモ科に属し、地中に親芋・子芋・孫芋を形成しながら長期間にわたって栽培される作物です。そのため、収穫後の土壌は養分のバランスが偏りがちで、特に窒素やリン酸が不足し、やや過湿気味の状態になります。また、同じサトイモ科の作物(クワズイモなど)を続けて植えると連作障害が発生する恐れがあるため、次の作物は異なる科の植物を選ぶことが大切です。
今回は、サトイモを収穫した後に植えるのにおすすめの後作野菜を5種類ご紹介します。それぞれの特徴や育て方のポイントを押さえて、畑を一年中活用しましょう。
ホウレンソウ
サトイモの後作としてまずおすすめしたいのがホウレンソウです。ホウレンソウはアカザ科に属し、サトイモとはまったく系統が異なるため連作障害の心配がありません。さらに、ホウレンソウは短期間で収穫できるため、サトイモの収穫が終わった秋口からでも十分に間に合います。
ホウレンソウは冷涼な気候を好み、過湿を嫌うため、サトイモの栽培でやや重くなった土を軽く耕し、排水性を高めてからタネをまくのがポイントです。元肥は控えめで構いませんが、追肥としてチッソ分を少し与えると葉色が濃くなり、やわらかく育ちます。秋から冬にかけて甘みの増すホウレンソウは、サトイモ後の畑に最適です。
ホウレンソウの栽培方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
ダイコン
根菜類の代表であるダイコンもサトイモの後におすすめです。アブラナ科に属しており、サトイモとは異なる科のため連作障害の心配がなく、畑の養分を有効に利用できます。
サトイモの後の畑は水はけが悪くなりやすいため、ダイコンを植える際は高畝にして排水性を確保するとよいでしょう。ダイコンの深く伸びる根が、サトイモで締まった土をほぐし、通気性を改善してくれるという効果もあります。秋まき品種を選べば、冬には太くてみずみずしいダイコンを収穫できます。
ダイコンの栽培方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
ネギ類(長ネギ・分けつネギなど)
ネギ類はサトイモの後作にとても適しています。ヒガンバナ科に属するネギは、病害虫の発生を抑える抗菌効果を持ち、連作障害のリスクが極めて低い作物です。サトイモの栽培で発生しやすい根腐れ病やカビ類の増殖を抑える効果も期待できるため、畑の土壌を健康に戻す「リセット作物」として非常に優秀です。
ネギは長期間の栽培にも向いており、秋に植えて翌春まで楽しめます。加えて、ほかの作物とのコンパニオンプランツとしても利用でき、病害虫対策の面でも頼れる存在です。
九条ネギの栽培方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
小ネギの栽培方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
エンドウ類(スナップエンドウ・絹さやなど)
マメ科のエンドウ類も、サトイモ後の畑におすすめです。マメ科植物の根には根粒菌が共生しており、空気中の窒素を固定して土壌に供給する働きがあります。サトイモ栽培で減少したチッソ分を自然に補うことができ、土壌を肥沃にする効果が期待できます。
エンドウは秋にまいて冬越しし、翌春に収穫する作物です。寒さに強い品種を選べば、サトイモの収穫直後にタネをまいても問題ありません。支柱を立ててつるを這わせるだけで、家庭菜園でも育てやすく、サヤエンドウやスナップエンドウとして美味しく楽しめます。
エンドウの栽培方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
レタス
レタスもサトイモの後作に向く野菜のひとつです。キク科の植物で連作障害が少なく、根が浅いため、サトイモで掘り返したふかふかの土をそのまま活かせます。さらに短期間で収穫できるため、次の作付け計画にも柔軟に組み込みやすいのが特徴です。
レタスは冷涼な気候を好むため、秋にタネをまくと生育が安定します。水はけの良い畑を好むため、サトイモ後の過湿な土壌には軽く腐葉土を混ぜて通気性を改善すると良いでしょう。害虫対策には防虫ネットを利用し、無農薬でも安心して育てられます。
レタスの栽培方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
まとめ
サトイモの後作を選ぶ際のポイントは、「異なる科の作物を選ぶ」「過湿を避ける」「チッソ分を補う」の3つです。今回紹介した「ホウレンソウ」「ダイコン」「ネギ類」「エンドウ類」「レタス」は、いずれもこれらの条件を満たしており、サトイモ後の畑で健全に育つ野菜ばかりです。
サトイモは長期間栽培するため、土壌が疲れやすくなりますが、後作に適した野菜をうまく選ぶことで、土の健康を取り戻し、翌年の栽培にも好影響を与えます。家庭菜園を一年中楽しむためにも、サトイモの収穫後は畑を休ませるのではなく、ぜひ今回紹介した後作野菜を植えてみてください。